
S-1716 Stitched Tip Oxford
昨年9月のISETAN靴博にお越しいただいたお客様。アメリカンビンテージ靴がお好き(かなりマニアックな靴もお持ちでした!)なことに加え、アーチケリーを製作する舘さんのブランドSANTARI(サンタリ)でのオーダー経験もあるということで話が弾み、後日オフィスにてオーダーをいただきました。 アーチケリーでは展開していないギザキャップトゥ。キャップの大きいギザピンキングと存在感あるステッチが特徴です。いわゆるフローシャイムのVIKING S-1311が有名ですが、40sから50sにかけて、ほぼ同じデザインの靴は他のメーカーでも生産されていた模様。 ビン靴ファンからも人気のこのスタイルですが、アーチケリーでも再現すべく密かに動いていた経緯があります。 2021年の12月、とあるビンテージシューズオーナーの方にお願いしてS-1311の現物をお借りしました。 BRAEBURN GRAINと称されるグレインレザー。これに近い革を探すところからスタート。 ポイントは2つ。キャップのギザを表現できる2mm以上の厚みがあること。革の表面のみ着色し、芯には染料を通さない丘染めであること。 結局1年近く試行錯誤し、ほぼそっくりな革を国内のタンナーさんにお願いし、開発することに成功しました。 今回は、そんな革が調達できたタイミングでいただいたオーダー。 木型はアーチーラスト、パターンを新たに起こして製作しました。 この靴いちばんの特徴、トゥキャップのギザ。これは専用のポンチを作り、職人が手で刻んでいきます。 刃が斜めに入ることで、断面は実際よりも厚く見える効果があります。 お客様のご希望で、ハンドソーンウェルト製法に変更しました。これもアーチケリーとしては初めての試みになりました。 ...