S-1611 Ventilated U-Wing Tip Oxford
1月の大阪展でオーダーいただいたUウイングチップが完成、5月後半に納品しました。 ファッションのこだわりも強くアメリカンビンテージ靴(ビン靴)にもお詳しいお客様、50s前半と思しきパーフォレーションによるベンチUウイングの写真をお持ち込みくださいました。 もしベンチレーションが作れるならオーダーしようかと思っている、とのお言葉。 アーチケリーとしてもいつかは作りたいと思っていたベンチの靴を制作させていただく機会となりました。 かつては、暑い夏を涼しく快適に履けるよう、ビン靴ブランドの春夏カタログにはベンチレーションの靴が掲載されていました。 今回のようなパーフォレーションによるもの、ナイロンメッシュのもの、革を編み込んだメッシュのものと時代によって様々ですが、今回のパーフォレーションのものは中でも30sからの旧い時代に多く見られるかと思います。 30sはアールデコ調のデザインが靴にも取り入れられた時代。40sの終わりくらいまではアールデコなステッチとパーフォレーションをミックスさせたようなベンチレーションシューズも散見されました。 パーフォレーションのデザインはディレクターである私に一任されたとはいえ、アールデコ調を取り入れるかどうかはお客様に確認したいということで、パターンをいくつか提案させていただきました。 決定したのはアールデコ要素の少ないパターン(右下)。 ちょうど手元に50sフローシャイムのベンチレーションがありますが、これに近い形に落ち着きました。 今回のオーダーのこだわりはこれだけではありません。 タンカラーのアッパーに合わせるステッチの色、コバの出し縫いに使う糸の色をそれぞれご指定いただきました。 アッパーステッチはタンカラーより少し暗い色、出し縫いも通常の白ではなく生成りの色に変更しました。よりビンテージ感が出る仕上げに。 ...